Unknown Forest /知らない森
2023.11.07 - 2023.11.18 [ Ami-Kanoko ]
寺島みどり
[抽象画] [油画]
私たちの知らない森が私たちの中にある。
12:00-18:00
日・月:休廊
Closed : Sunday,Monday
略歴:1998年京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻油画修了
風景をもとにし た抽象画を油彩で描く。
1997年ギャラリー白(大阪)にて個展。
VOCA展2007、 BLUEDOT ASIA 2008等、個展グループ展多数開催。
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3Fには新作、2Fには旧作とドローイングが展示されております。
新作の「冬」(149×300cm)は、分け入った森の中の情景を描いています。
白絵具のストロークが、重い雪が今も降っている様を現し、画面から鎮まる森の音のない冷ややかさと、時折バサッと雪が落ちる音の瞬間が感じられます。
寺島みどりさんの作品の魅力は、油絵具と表出するイメージとの関係性にあるように思います。
彼女の場合、油絵具がイメージの発端を引き出したいるように見えてなりません。
油絵具が彼女を触発し、そそのかしている!?、そのようにさえみえます。
私たちの暮らしの中に、新しい素材、材料で満ち溢れています。
例えば、日々着る服地にも通気性がよく、速乾性のあるものが開発されて流通しています。
美術の中にもMIXED MEDIAというカテゴリーができ、ヴィデオアートと絵画の組み合わせは昨今では当然のこと。「進展」や「進化」といった言葉を求めて進んでいきます。
この時代に何故、油絵具?と思う人もいるでしょう。
しかし、寺島さんの作品は、過去何百年も絵筆をとった作家が油絵具に惹きつけてきたことを改めて教えてくれます。
作品を観ていると、私も一度絵具をさわってみたい、色の出来具合、重ね方、乾く時間を試したいと思いました。
そして、どういった思考で、最後の瞬間にその重なりが”絵画”になるのだろうか、と疑問を抱きました。
良い作品ほど、その材料、水墨画なら墨の濃淡、日本画なが顔料の美しさ、木彫なら木目と、素材の美しさに眼がいきます。
恐らく、作家が使う材料を愛しいと大事に思い、素材の卓越性に惚れているのだと思います。
離れたり近づいたりする画材に難渋しながらも、寺島さんは絵具の力を最大限に生かし、自分の世界を創りあげることに向き合っているのです。
今回の新作「冬」「燃える木立」「知らない森」「水辺の奥」といった作品は、長らくの油絵具との対話によって仕上げらた作家のイメージの世界で、展覧会が一つのまとまった楽曲のように仕上げられています。