「線から線へ」木版画創作展では、油性木版画の彫り進み法を用いた作品が展示されている。制作プロセスでは、同じ木版に毎日少しずつ彫りを行い、摺りを重ねて進めていく。作者はこの過程において特定のルールを設け、語学教科書に見られるような規則的な基盤の目を木版に彫り込み、四角形の中に繰り返し線を刻んでいる。
この作業は、言葉では表現できない複雑な感情や思考を掘り起こし、それを視覚的な形で提示することによって、観客に「考えと行為の間に何があるのか」を問いかける。手による行為の深淵を通じて、精神の根源やその表現に対する新たな理解を開拓することを目指している。
さらに、「線」を彫る作業は、作者にとって文字を書く感覚と結びついている。作者は、すべての文化における「文字」の基本が「線」であることに気づき、自分の「文字」をどのように感じてもらうかを考える中で、すべての文字を一本の直線に簡略化し、それをシンプルな直線で表現している。観客には、線を理解するのではなく(視線、光線を通じて)感覚的に捉えることが求められている。