案内状の写真:日本のテキスタイル産地の素材と技術を組み合わせた布
一般的に布は平面のように表面としてしか捉えられないが、実際は厚みという小さな奥行きを持つ。そこでは、糸が交差し、染料が染み込み、表面に顔料や箔が乗り、穴が開くとほつれる‥‥。
1981年より、布や紙を素材としたインスタレーション作品を制作してきた。2005年より、勤務大学近郊のテキスタイル産地との産学連携プロジェクトを始めた。工場で学生が布を作成する授業が契機になり、日本のテキスタイル産地の素材と技術を組み合わせた布をつくるプロジェクトは、2017年より始めた。
日本のテキスタイルは、全国に40カ所以上の産地が存在するローカルデザインの宝庫であり、すでに合理化された欧州では使われていない低速の旧式の機械を使った高付加価値なものづくりをしている中量生産の工場が残っている。このような工場をリサーチし、異なる産地の異なる技術を組み合わせた3点の布を開発した。
今回の展示ではその布に加えて、工場での生産前後に手作業で制作した布作品も同時展示する。手作業と工場生産を行きつ戻りつしながらアイデアが形になる、ものづくりのプロセスを提示する。