「姿かたちをあるがまま変える水からのインスピレーション」
「土でかたちを生み出し、焼成し陶にするやきものでの造形」
私は幼少期から夜の雨音を聞きながら眠るのが好きだった。
水の音のリズムと身体中に纏う程よい湿度が胎内の中にいるような心地よさを感じ、この情景を表現したいと思い、水や雨をモチーフに制作を始めた。
水や雨の情景を求める中で、世界のあらゆるところで水が生命の源である女性の象徴として語られていることを知った。
ただただ流れ、たまり、乾き、蒸発する自在に姿かたちを変える水の様相に、私の中で今の時代の女性のしなやかさとゆらめく姿が重なった。
今は多様性の社会である。しかし、私が社会生活を送る中で感じることは、あくまでも男性社会が基盤であり、平等や対等でいるために女性は様々な努力を強いられているということである。命をかけて命を産み、自分の心、時間、全力をかけて大切なものを守る女性の本能は今も昔も変わらずにある。私はそこに女性の強さとしなやかさを感じる一方、常に変化する社会の中で悩み、揺れながらも踏ん張る強さを尊く思う。
私が表現したいのは、決して女性讃美ではない。私は女性というフィルターを通しているが、どのような立場や性であっても、ありのまま、力を抜いて自然に生きることができればいいと思う。私にとってそれを形容するものが夜の雨音を聞きながら眠る情景である。
また、陶での表現において中が空洞であること、内と外の関係性は重要な造形要素だが、私はそこに女性が持つ身体の内側への意識を重ねている。
女性は子どもを授かる身体であることや、美容健康への意識やヨガなどの好んで行うことから、男性よりも身体の内側への意識が高い。
私はこのことから、有機物である土が焼成を経て陶になる物質の強固さに、陶のパーツを微妙なバランスで積み重ねる造形を加えることで、そのかたちの内側・幹を感じさせ、凛とした姿を表現できるのではと考えた。
今回「にわたずみ 」という展覧会タイトルをつけた。
にわたずみは古語で、水たまりを意味する。俳句で使われる言葉だが季語ではない。そのニュートラルで、ありのままの情景を想像させる言葉に作品のイメージが当てはまった。
1986 | 京都生まれ |
2008 | 京都造形芸術大学美術工芸学科陶芸コース卒業 |
2010 | 京都市立芸術大学大学院美術研究科工芸専攻陶磁器修了 |
2007,09,13 | アートスペース虹(京都) |
2009,14,15,17,19 | 画廊 編 ぎゃらり かのこ |
2009 | アジア現代陶芸―新世代の交感展 愛知県陶磁資料館(愛知) |
主張てん ギャラリーアーティスロング(京都) | |
2010 | もうそうのふきだし展 ギャラリーマロニエ(京都) |
不器用展 ギャラリーRAKU(京都) | |
2011 | おてらてん 南丹市如城寺(京都) |
女子陶芸展 西宮阪急(兵庫) | |
2012 | 隠岐しおさい芸術祭 作品展示(島根) |
2013 | 容れるかたち展 堺町画廊(京都) |
NETWARK21C展 (全州 韓国) | |
2014 | NETWARK21C展 (全州 韓国) |
2016 | 三国人展 Gyodong Art Studio(全州・韓国) |
CREACIO,NATURA/GASTRONOMIA Galeria Marges U(スペイン・カダケス | |
同じ窯の位相展 ARTZONE(京都) | |
2017 | 非在の庭 アートスペース虹(京都) |