New Face 2025 森吉 由衣 / 吉田 鷹景
森吉 由衣 / 吉田 鷹景
森吉由衣 Statement
・伝えたいこと
誰もが情報を扱える時代において、エラーやデマ等の問題はしばしばデバイスやシステムそれ自体ではなく、それを操作する人間に起因します。それは人間の不完全さや、どうしようもなく肉体のような物質性を持つからと考えています。技術が進化し、無駄が削ぎ落とされるほど、結局は必死に指を動かして形のない情報を飲み込もうとした皮脂のぎらつきばかりが目立ってしまうのです。
・題材の選び方
多くの題材は、デジタル情報から選定しています。
スクリーンやタッチパッドに皮膚を密着させ、画面やカーソルを動かす様や、ひと時も離さず持ち歩くようになったことは、もはや私の身体の一部になっていると言っても過言ではありません。
そう言った意味でデジタルデバイスや情報は、私に1番近いものの一部であるため、自然と題材として選ぶようになりました。
また、体の大きさに対し、ほとんど手のひらサイズしか無いような存在に必死になっていることが滑稽で、でも止めることができない。そういった板挟み状態であることも関心の一つになっている理由でもあります。
・技法について
私は版画の技法の一部であるシルクスクリーンを使って制作しています。
シルクスクリーンの制作過程を見れば拍子抜けするかもしれませんが画面にのっている全てのイメージはじっと画面に向き合われて作られたのではなく、ほんの数十秒感、私の2本の腕によって圧をかけられたインクが押し出された痕跡に過ぎません。
あっけないです。掃除をしている時間の方が圧倒的に長い。その呆気なさや労力がくだらなくて好きです。
また、今回のように身体を使って刷られることによってエラー(刷りムラ、掠れ、モアレ等)が起こり、単なるデジタルから抽出されたイメージではなく二本の腕で押し出された痕跡であることや、身体を通すからこその不完全さを残すことができる点もシルクスクリーンを使って制作する一つの理由になっています。


