堀尾貞治 あたりまえのこと<今> BBプラザ美術館同時空間

2014.05.12 - 2014.05.17 [ 1F Ami 2F Kanoko ]

堀尾貞治
[インスタレーション] [具体]

BBプラザ美術館の展示は堀尾貞治の集大成のような気がする。それは作品のことを言っているのではない。堀尾が生きてきた”生き方”に対することである。

BBプラザ美術館の搬入に当たっては、現場藝術集団「空気」のメンバー30余人が集い、2日にわたり堀尾の搬入を補佐した。この現場藝術集団「空気」のメンバーは登録されているわけでも、その総勢が分っているわけでもない。もしかしたら、展示に集まった人誰かに、「あなたは現場藝術集団「空気」の方ですか?」と、尋ねてもだれも「いやー、そんわけでも」と、適当にはぐらかすかもしれない。「空気」と名のつくとおり、グループには実態があるわけではない。しかし、堀尾氏の活動に伴い、必要だと思われる人数が、堀尾氏の指定の場所に集まって来るのである。そして、みな適当に帰っていく。

そして、この現場藝術集団「空気」とは他に、展覧会と同時空間、同時連動として名を連ねる画廊は神戸、大阪、京都を中心に30余り。特に何かを強制されているわけでもなく、特に何かを一緒になって企画する計画もない。活動は、個々の画廊にゆだねられている。展覧会のポスターを貼ったことだけで同時開催と解釈できる。熱心なギャラリーもある。ギャラリー2001の清水氏は、堀尾に代わって毎日色塗りの作業を画廊で行っていると聞く。

かつて、このような多数の人を動かし、またこのような形で画廊を巻き込んだ作家はいたであろうか。
これだけの人の力と、ギャラリーという空間を同時に巻き込む、はやりこれは堀尾貞治の集大成と言って過言ではない気がする。

Gallery AMI-KANOKOでは、1F SPACE AMIでは、過去の作品の展示を行っている。2F SPACE KANOKOでは、初日2014/5/12(月)に堀尾氏が、陶芸作家藤田依子の器にコラボレーションのパフォーマンスをそのまま展示している。

器作家には欠品というものがつきものである。色むらや欠け、窯のなかで灰による釉薬の不具合。そういったことで作品として出せないものが出てくる。工場製品の質が整った製品に慣れきった我々の生活では、作家は均質さ、正確さを求められ、苦しめられる。まるで落ち度があるかのように。毎年、人参や大根が同じ味でないのと同じように、作品も窯によっては不具合がでる。いくら温度調整が効いた電気窯でも、その中を完全にコントロールすることは難しい。まして、藤田依子の仕事は青磁という歩留まりの悪い仕事である。運悪く、多くの欠品がでた。
陶器作家として仕方ないことといい、彼女はこれを処分するという。
余りにも作品が可愛そうだとと思った。みなそれぞれいいところがあるのに。

そういう経緯で、堀尾氏にパフォーマンスのキャンバスとして器を使ってもらうことにした。快諾を頂き、今回の展示となりました。青磁の色は美しいと、内側は触らず、その外側を一気に駆け抜けるように堀尾氏は絵ずけした。油性のペンキで。
和室:KANOKOでは、堀尾氏の息づかいが残ったままの展示となっています。
それが、BBプラザ美術館と同時開催の大きな意味となりましょう。

EXHIBITION PHOTOS